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歯列不正が原因で起こる子どものむし歯

2026年08月04日 [ブログ]

「毎日歯を磨いているのに、同じところにむし歯ができてしまう」

その原因の一つに、歯並びが関係していることがあります。歯が重なって生えていたり、歯と歯の間が狭かったりすると、歯ブラシの毛先が届きにくく、食べかすや歯垢(プラーク)が残りやすくなるからです。

ただし、歯列不正があれば必ずむし歯になるわけではありません。むし歯は、歯並びだけでなく、食生活、歯磨きの状態、唾液の働き、フッ化物の利用など、いくつもの要因が重なって起こります。歯並びは、むし歯のリスクを高める可能性のある要素の一つと考えることが大切です。

歯が重なった部分は磨き残しが増えやすい

子どもの歯並びで特に注意したいのが、顎の大きさに対して歯が並ぶスペースが不足している「叢生(そうせい)」です。一般に「歯がガタガタしている」「歯が重なっている」といわれる状態です。

歯がきれいな列から外れて生えていると、歯ブラシを横に動かすだけでは十分に磨けません。重なった歯の内側や歯と歯の接触部分にはプラークが残りやすく、見えにくい場所でむし歯が進んでしまうこともあります。

特に乳歯から永久歯へ生え替わる時期は、背の低い歯や生えかけの歯が混在するため、ただでさえ磨くのが難しい時期です。そこに歯の重なりが加わると、お子さんだけの歯磨きでは十分に汚れを落とせない場合があります。

口呼吸もむし歯のリスクに関係します

上の前歯が大きく前へ出ている場合や、上下の前歯がかみ合わない開咬がある場合には、唇を閉じにくく、口呼吸になっていることがあります。

お口の中が乾燥すると、汚れを洗い流したり、細菌がつくる酸を中和したりする唾液の働きが十分に発揮されにくくなります。ただし、口呼吸には鼻づまりや扁桃、アデノイドなどが関係することもあるため、歯並びだけを原因と決めつけることはできません。

むし歯が歯並びを悪くすることもあります

歯並びとむし歯の関係は、一方向だけではありません。乳歯のむし歯が進行し、本来抜ける時期より早く歯を失うと、隣の歯が空いた場所へ移動して、後から生えてくる永久歯のスペースが不足することがあります。

つまり、歯列不正がむし歯のリスクを高める一方で、乳歯のむし歯や早期喪失が、将来の歯列不正につながることもあるのです。「乳歯はいずれ抜けるから」と放置せず、適切に治療する必要があります。

歯並びに合わせた予防を

歯が重なっているところは、歯ブラシを少し縦にして一本ずつ磨き、必要に応じてタフトブラシやデンタルフロスを使います。永久歯が生えそろう頃までは、保護者による仕上げ磨きや磨き残しの確認も続けましょう。

フッ化物配合歯磨剤の使用、間食の回数を決めること、歯科医院での定期的なチェックも重要です。矯正治療が必要かどうかだけではなく、「今の歯並びでは、どこに汚れが残りやすいのか」を知ることが、むし歯予防の第一歩になります。

エビデンスコーナー

歯の重なりとむし歯の関係については、歯列不正だけをむし歯の直接的な原因と断定できるほど、一貫した研究結果は得られていません。しかし、歯が重なった部分は歯ブラシが届きにくく、歯垢が残りやすいため、一人ひとりの歯並びに合わせた予防が重要です。また、乳歯の大きなむし歯や早期喪失は、永久歯が生えるためのスペースや、その後の歯並びに影響する可能性が報告されています。

【参考文献】

  • 米国矯正歯科学会誌「歯の叢生とむし歯リスクに関する系統的レビュー」(2012年)
  • 国際口腔科学誌「子どもに多い歯科疾患と歯列不正」(2018年)
  • 日本小児歯科学会「小児のむし歯予防に関する資料」