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矯正治療を始める時期 ~「もう少し様子を見ましょう」で大丈夫ですか?~

2026年06月05日 [ブログ]

「矯正は永久歯が生えそろってから」
そう思われている保護者の方は少なくありません。

実際に矯正相談に来られた際にも、
「まだ小さいので様子を見ましょうと言われました」
「中学生くらいになってから考えればいいと思っていました」
というお話をよく伺います。

しかし、歯並びは永久歯が生え始めてから突然悪くなるわけではありません。
その原因の多くは、お子さまが成長する過程で少しずつ作られていきます。
だからこそ、私たちは「歯並びを見る」のではなく、「成長を見る」ことが大切だと考えています。

上あごの成長ピークは8歳頃

矯正治療を考える上で大切なのが、顎の成長です。
特に上あご(上顎骨)は、お子さまの成長の中でも比較的早い時期に発育のピークを迎えます。
一般的には8歳頃までに大きく成長すると考えられています。

つまり、歯が並ぶスペースを確保したり、顎の成長を正しい方向へ導いたりするためには、その成長のピークを迎える前に評価を行うことが重要なのです。

成長の力を利用できる時期であれば、無理な力で歯を動かすのではなく、自然な発育をサポートしながら治療を進められる可能性があります。

小学校1〜2年生は大切なタイミング

私たちが矯正相談をおすすめするのは、小学校1〜2年生頃です。
「そんなに早く?」
と思われるかもしれません。
しかし、この時期は永久歯への生え変わりが始まり、顎の成長も活発な時期です。

また、

  • 口呼吸がないか
  • 舌の位置は正しいか
  • 飲み込み方に問題はないか
  • 顎の大きさは十分か
  • 歯が並ぶスペースはあるか

などを確認できる重要な時期でもあります。
この段階で問題を発見できれば、成長を利用しながら改善できる可能性があります。
逆に、永久歯が生えそろうまで待ってしまうと、成長のチャンスを十分に活かせなくなることもあります。

矯正治療は歯を動かすだけではありません

矯正治療というと、ワイヤーやマウスピースで歯を動かすイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし、お子さまの矯正治療で大切なのは、それだけではありません。

私たちが重視しているのは、

  • 鼻で呼吸すること
  • 舌が正しい位置にあること
  • 正しく飲み込めること
  • 顎が十分に成長すること

です。

これらが整うことで、歯は本来並ぶべき場所へ並びやすくなります。
歯並びは結果であり、その土台となる成長環境を整えることが重要なのです。

「治療開始」と「相談開始」は違います

誤解されやすいのですが、早く相談することと、早く矯正を始めることは同じではありません。
小学校低学年で受診したからといって、すぐに装置を使うとは限りません。

成長の状態を確認し、必要な時期を見極めるために早めのチェックをおすすめしています。
何も問題がなければ経過観察になることもあります。

大切なのは、お子さまにとって最適なタイミングを逃さないことです。

将来のために今できること

歯並びは見た目だけの問題ではありません。
噛む機能、発音、呼吸、さらには顔の成長にも関わっています。
だからこそ、私たちは「もう少し大きくなってから」ではなく、「今の成長を確認すること」をおすすめしています。

お子さまの歯並びやお口ぽかん、口呼吸が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
将来の歯並びは、今の成長の中で作られているのです。

参考文献・エビデンス

アメリカ矯正歯科学会(AAO)は、すべての子どもが7歳までに矯正専門医による評価を受けることを推奨しています。
これは早期に治療を始めるためではなく、成長発育や歯列・咬合の問題を適切な時期に発見するためです。

また、成長期の顎顔面発育を利用した矯正治療は、将来的な抜歯の可能性を減らし、より自然な咬合の獲得につながることが報告されています。

【参考文献】

  • American Association of Orthodontists (AAO) Recommendation for Orthodontic Check-Up by Age 7
  • Proffit WR, Fields HW, Larson B, Sarver DM. Contemporary Orthodontics. 6th Edition.
  • McNamara JA Jr. Early Intervention in the Transverse Dimension: Is It Worthwhile? American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics.
  • Baccetti T, Franchi L, McNamara JA Jr. Growth modification treatment timing and craniofacial development studies.